【 沿う 】 自立支援

「自立」についてあらためて考えた

次のブログのテーマは

「 自立支援 」

と、ミッションが出された

そもそも自立とは

皆さんは自立をどう解釈するだろうか?

社会人になったら?

20歳になったら?

骨折して車椅子生活だったけど

リハビリしたら歩けるようになったら?

それぞれの立場や その時々で

考えつく自立は変わるのだと思う

私たちの業務で多く関わる

介護保険法

この中の 第1章 第1条

「~その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう~」

と、しっかり謳われている

もう何十年も見ている条文だが

十人十色の日常生活

それを自立するよう支援する

やはり難しい

地域包括支援センター

ご存知の方も多いと思うが

地域包括支援センターは

” 介護保険サービスありき ”

の仕事ではない

本人の望む暮らし

家族の望む暮らし

地域の望む暮らし

これらを伺い

みんなが腑に落ちる地点を見つけ

そこに向けて支援してゆく

そこに介護保険サービスがなくても

そんな私たちの業務の中から

自立に向けた支援を

事実を基に

個人が特定されぬよう一部改変して

記事にする試み

どうぞ温かい目でご一読頂きたい

70代の花子さん

介護が必要となった夫と2人暮らし

もともと町内のサークルや運動のクラブに所属するなど

夫と共にアクティブに生活していた

しかし、夫が病気をし外に出ることがなくなると

自身も活動に参加することが減り

自然と家から出ることが少なくなった

令和3年11月

花子さんがはじめて包括に相談に来られた

夫は病気の治療のため入退院を繰り返している

物忘れがある

時には思い通りにならず 机や壁を叩いたり

とてもストレスになっていると

夫に対する介入を行ない

花子さんには認知症と家族の会のパンフレットを手渡した

令和4年1月

花子さんは友人を連れ包括に来られた

「夫は長期の入院が必要になった」 と

しかし

明らかに不安で落ち着かない様子

何かおかしい

令和4年4月

花子さんからの相談

「夫が入院している」

「一人で家に居ると食事も味がしない」

「寂しくておかしくなりそう」

とても辛そうに話された

介護に疲れたと話しておられたのに

それでも一緒に居たい

令和4年5月

親戚の方が包括へ相談に来られ

家庭事情を詳しく話してくださった

花子さんは”うつ病”の診断を受けていた

掃除・洗濯・食事・炊事が全くできなくなり

夫の入院する病院に

何度も何度も電話をかけたという

現在は精神科に入院しているという

介護認定は 要支援1

令和4年6月

病院からの介入依頼

花子さんが

「早く家に帰りたい」

「夫と穏やかに暮らしたい」

と訴えているという

うつ病が治ったわけではない

食事など生活全般に不安がある

しかし花子さんが希望するのであれば

介護サービスを利用しながら

夫と生活できるか やってみよう

まず花子さんから退院

令和4年7月

程なくして夫が退院

数か月ぶりの夫婦生活

花子さんは

家事だけでなく畑仕事も行っている

「介護サービスは要らないわ」

でも

「夫がデイサービスで居ない日が寂しい」

”夫のため” 以外に活躍できる場がないだろうか?

記録と記憶を辿る

卓 球 ク ラ ブ

さっそく花子さんに提案

とても乗り気!

課題は しばらく休んでいた不安だけ

それなら 一緒にいきましょうか?

私たちの自立支援である

毎週 木曜日 あさ9時

デイサービスに行く夫を見送ると

花子さんは

自宅から1kmほどの所にある

町の体育館に向かい歩く

包括職員と共に

手にはラケットとシューズを持って

今日も足取りは軽やかだ

たったそれだけ?

それが自立支援?

様々な意見があるだろう

では自立支援なのか否か

これを決めるのは

誰なのだろうか?

寄り添い過ぎて依存されてもいけない

遠すぎて信頼されなくてもいけない

ちょうどいい距離を

「沿う」

と表現した人も居る

色々あったけど

特別ではない日々を過ごせるようになった

やりたいことができるようになった

そんな町民が一人でも増えたら

自立を支援したと

言ってもいいのかな